地域の景観にとって巨樹がもつ意味について ~丸田頼一先生のご著書から

丸田頼一先生の『都市緑化計画論』(平成6年、丸善)、『環境緑化のすすめ』(平成13年、丸善)には、高木・巨樹が都市緑化に果たす役割が書かれています。かいつまんでご紹介させていただきます。


長期的に風格のある市街地景観をつくるには、高木や樹林地を地域の共有財産として末永く保全したり創り出すことが必要である、と丸田先生は書かれています。

外国の都市や住宅地には高木が多く、また既存の高木を守るための市民からの支援や規制があるそうです。たとえば、ドイツの各市には樹木保護条例があり、無断の伐採に対して罰則規定を設けているところも少なくないようです。イギリスにも、樹木保護令(Tree Preservation Order)があり、木の伐採、枝切や刈込を禁止しています。日本はそれに比べ遅れているそうです。

一方巨樹は日本書紀などの古典にも触れられており、アニミズム(精霊信仰)の精神から、巨樹は聖なる木として崇められ、またその樹下では蹴鞠等の遊びが行われていたそうです。現在でも、巨樹のそばでは遊びや立ち話をする姿がよく見られ、地域のシンボルとして貴重な役わりを果たしていることを明らかにされています。

また、地域の緑の保全については、緑被率(緑で覆われる土地の面積割合)が一般的に用いられますが、丸田先生は、視界の中にどれだけの緑が見えるかのほうが、住民の満足度をより正確に映すとし、緑視率(視界に入る緑の量の割合)の方が重要であるとしています。その緑視率からみた住民の満足度の向上には、遠くからでも視界に入ってくる高木や巨樹が果たす役割が大変大きいそうです。地域のシンボルとしての役割に加え、眺めてほっとできる緑を提供してくれているわけですね。

丸田先生も、落ち葉の問題や日陰の問題など、都市での高木・巨樹の保全には、難しさがあることを指摘しています。しかしそれに勝る役割を持っているということから、都市における緑の特性に関する地域住民の理解を一層増やし、住民参加による高木・巨樹との共存を図る都市を目指すことの重要さを述べられています。

私たちの弁天町のある地域は、新宿区の中でも一番緑被率が低い地域です。空中写真でわかるように、ムクエノキは、コンクリートジャングルの中、たった一本残されています。しかし、その大きさから、ムクエノキが覆う緑被率以上に、多くの人たちの、日々の生活の視野に入り、愛でられています。(少し離れたマンションの中高層階からも良く見えるそうです!)。

(KY)





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むくのき・えのき

Author:むくのき・えのき
都心 新宿区の街なかに残されたエノキ(ムクエノキ)の巨樹を何とか残したいと地域住民で立ち上げた会、「巨樹の弁天町エノキを愛する会」の活動ブログです。署名をお考えの方は、http://www5e.biglobe.ne.jp/~natsu86/からPDFファイルが手に入ります(印刷してお使いください)。弁天町のつぶつぶカフェさん(http://tubutubu-cafe.net/)でも署名ができます。仲間も募集中です!関心ある方は、mukunoki.enoki@gmail.comまでご連絡ください♪

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